Silent Hill

神奈川県川崎市の南部。カワサキサウスサイドなんて呼ばれることもあるこの地区は治安が悪いと言われる事が度々ある。しかし平日の昼間2時頃というのはのんびりとした暖かい空気が流れていた。

しかしこの小向マーケットだけは違った。
ここのたった数十メートルのマーケットは昭和で時を止め、剥がれかかったトタン屋根から仄暗い日光が差し込んでいた。

看板の字体でもわかるその歴史の古さ、この小さな商店街の中に以前は十軒ほどのお店が並んでいたのだろうが、現在はそれら全てが閉店していた。

｢おしやれ｣と書かれた看板。
豆腐は購入次第すぐ水で冷やしてくれというお願いがき。
放置された自転車はどう考えても40年以上前のもののようだった。

一体いつから店は閉店しているのだろうか。どこも朽ち果て、今にもこの空間だけ潰れて消えてしまいそうだった。

東京都大田区と神奈川県川崎市を結ぶ多摩川の大橋からほど近く、大通りは活気づいているのにここだけとても異様な空間が広がっていた。