Silent Hill

　私が渋温泉に向かったのは雪深い１月だった。昔ながらの温泉郷は白銀の世界に包み込まれていた。

　渋温泉と言えば千と千尋の神隠しのモデルともなった金具屋が有名であるが、それよりも廃墟やしなびたお土産屋さん、温泉街特有の卓球場や景品に招き猫や達磨が置かれた昔ながらの射的場が目立つ。
　それに負けじと主張しているのが廃墟である。潰れた旅館なのか、民家なのかはっきり分からない建物が多かった。雪のせいで足場は非常に悪く、中に入ることは許されなかった。何度侵入を試み雪に足を取られてびしょ濡れになったことか。

　雪のせいか、観光客のせいか、はたまた築年数が相当経過しているのか、窓が割れている場合がほとんどだ。中をのぞき放題である。
　しかし、中案外整理されており、綺麗さを保っている。
　周りが温泉街のおかげで観光客と地元民の目があるのだろうか。落書きもほとんどされていない。
　夏に訪れたらまた違う印象を受けるのだろうか。

　とにかく冬は寒すぎた。
　渋温泉は湯めぐりができるため体をすぐに温めることはできるが、この雪と寒さではすぐに湯冷めしてしまう。しもやけが治らない。
　渋温泉内はとても狭く、歩くことが推奨されるが、この狭い空間で五件ほどの廃墟を見つけることが出来た。

建物も造り的に古いものが多く見応えがある。